2019/6/26『PAKshin Piano Solo Concert』in Motion Blue Yokohama
先月末6/26にMotion Blue yokohamaで、自分としては初めてのグランドピアノソロコンサート『PAKshin Piano Solo Concert』を開催しました。
世界的にも由緒ある『bluenote』という場所。その系列店であり、日本屈指のホットスポット横浜の赤レンガ倉庫にお店を構えるMotion Blue yokohama。そんな場所で自分がソロでやるなんて、想像もできなかった。
昨年、Calmeraとして自分のバンドで出演した時にブッキング担当の方から
「パクシン君のソロ聴いてみたいな。やってみない?」
と言われたのがそもそもの始まりで。
まぁこういう「何かやってみません?」とか「またなんかやりましょ」は業界的に社交辞令や挨拶みたいなものになってるので、僕も軽い気持ちで
『うぃーす!やりましょやりましょー!!』
って当時は返したんですよね。
そこからしばらく経ち、何と、本当にオファーを頂けました。
その日が5月の5日とかだったかな?
「バンドのキーボーディストをメインにとして活動してきた自分にとって、モーションでピアニストとしてソロ、、、一体何をどうすれば良いんや、、、いや、その前にお客さん入ります!?平日やし、もう2カ月切ってるし、、しかも150人くらい入るし!!」
でも、そんなことよりも、このオファーが来たことが光栄であり、何よりも僕を信じて公演依頼をくれたモーション側の期待に応えたいという気持ち。
そして、活動している中で今までに何度かあった
『あっこれ、越えないといけない壁や。』
という直感。そして、この壁というのは不思議なもんで、その時の自分にとって、死ぬ気でかかればいつも越えられてきた。
「次のステップに進むチャンスが来た」
そう思い、ありがたくオファーを受けさせてもらいました。
自分にとって大きな壁を前にした時の高揚感と不安。いかにして成功に道筋を建てていくのか?どうしたら良いか分からずに、とりあえず発表も兼ねて、instaliveを始めた。
そのインスタライブを観てくれていた皆に、自分のその時の感情を隠さずそのまま曝け出して「不安や〜」と言うと
「絶対大丈夫!」
とか
「成功するようこっち側も頑張ります!」
とか
「おめでとう!絶対行きます!」
とか、ほんと心強い言葉いっぱいもらって本当に嬉しかった。
すげぇよなー。すげぇ時代になったなー。こんな風に繋がれるんやもんなー。
と半ば人ごとみたいに思いながらも、皆からの激励コメントに俄然ヤル気が湧いた。
改めて本当にありがとう。
そこからは、何をもって成功とするか、真剣に考える日々だった。
バンドでもない、企画でもない、自分のソロコンサートは、自分で全て考え、自分が全て背負う公演。自分がやりたいこと、届けたいものを純度100%で届けられる公演。
僕がこの公演のテーマで自分の中に掲げたのは
「PAKshinの音楽家としてのこれまでの軌跡、そして、ピアニスト、芸術家としての未来を感じてもらう夜」
でした。この日ばかりは笑いの要素は無し。
自分の音楽との関わりから、このステージに立つまでの今までが見えるような、そして「これから凄いことになっていくかも!」と感じてもらえるようなステージにすること。
パクシンと共体験をしてほしい。そして感動してもらいたい。
その上で、具体的に色々な事を考えました。
●ラジオのスピンオフ企画をやる
自分がパーソナリティをやっているレギュラー番組、東海ラジオ「J-LEGEND 6thシーズン Piano Arrange Collection」で毎週、日本の名曲をピアノアレンジでお届けしているのですが、今までの放送の中で演奏した中から、数曲をさらに踏み込んでリアレンジしたものを演奏することにしました。
●オリジナルを作る
バンドやその他では作曲をしているけど、ソロピアノ用の曲は全然ない。というか、そもそもソロピアノのライブ自体、2,3回くらいしかやったことない。
なので、この日に向けて書き下ろしを数曲作ることにした。
●想像のつかないゲストを呼ぶ
今まで一緒に演奏してきた方や馴染みのある人で素敵な演者さんは沢山いるけど、この公演だからこそ、自分がやってみたい音楽を表現したい。そして、いつも観てくれている人が想像つかないようなゲストの方と、素敵な音を届けられれば。
●物販を作る
その日の想い出として、何かを持ち帰って欲しい。自分のグッズを作ることに始めは少しだけ抵抗があったけど、それでも、望んでくれる方も多かったので、そこは妥協せず、そして採算度外視で作ることにした。
●インスタライブ配信
本番までを共体験してもらうため、現状の報告や練習風景などを僕としては積極的に配信しました。リクエストを受け付けてその場で即興で弾いてみたり、これは良い息抜きにもなった。
色々、試行錯誤をしていると、気付いたら協力者が現れてくれました。
圧倒的にグランドピアノを弾く経験の少なさや練習場所に絶望していた僕に、岡山のファーマーズマーケットノースビレッジの皆さんが、管理されている会館での練習場所を提供してくれました。
学生時代からずっとお世話になっている、デザイン事務所を営む先輩が、ロゴのデザインを請け負ってくれました。
長野県伊那市のアパレルセレクトショップMellowの黒木さんは、Tシャツのデザインから販売までの制作の全て、そして当日はスチール撮影までやってくれました。
そして、ゲストには二胡奏者の「高山賢人」さんが参加してくれることになりました。
これも、この公演が決まった時に、僕が
「絶対に二胡とやりたい!知り合いおらんけど!!絶対に二胡とやりたい!!」
という想いから、Twitterでの呟きがきっかけで繋がった奇跡的なご縁。
こんな時間に言うことじゃないのは分かってるんやけど、二胡奏者の方とお知り合いになって一緒に演奏したい。
— パクシン Calmera カルメラ (@pakshin) 2019年5月6日
と、思わせぶりなツイートをしたところ、お世話になっている方から高山さんを推すリプライが送られ、そして繋がりました。
この後に急なオファーをしました笑
会ったこともなく、SNSで繋がったばかりの僕からのオファーを快く受け入れてくれた高山さんに本当に感謝。
やりたい曲は決まっていました。
その二曲を絶対にやりたいと言った僕の強い想いに応えてくれて本当に嬉しかった。
そんな素敵な協力者が沢山現れてくれても、ステージを作りあげるのは自分自身。
本番に日が近づくに連れて、準備の間に合わなさに神経は尖っていきました。
曲ができない。
アレンジが間に合わない。
曲を弾きこむ時間が足りない。
そもそもバンドのツアーが、このモーションの直前に始まる。その曲も膨大な数覚えないといけない、、、
僕の中で、絶対に曲げないルール、不文律があります。
「何があってもバンド最優先。絶対におろそかにしないこと。」
Calmeraをやっているからこそ、今回の公演もあった。自分のことにしか目を向けないのは論外だし、精一杯でCalmeraの事がおろそかになるならそもそもハナからやってはいけない。
なので、本番一か月前からは、モーションソロ公演の準備、Calmeraのツアーの準備と、毎日寝落ちするまでやり切る日々が続きました。
多分人生の中で一番練習した笑
そしてここで、また貴重で不思議な体験をします。
その時、あと一曲、どうしてもオリジナルができなくて悩んでいました。
「ここでできひんかったらもう何かカバーを入れるしかないな、、、でもそれにもアレンジに時間かかるし、、、どうしよう。ほんまに無理や。。」
もう本当にあと数時間。この夜までにできなかったら準備は絶対に間に合わないという瀬戸際でした。
そもそもはじめから無謀な計画だったんだ。
もう寝よう。
諦めてそう思った瞬間、頭に1フレーズだけ、ほんとに僅かなフレーズだけ浮かびました。
なんとなくそのフレーズを弾いてみる。
そうすると、次のフレーズ、また次のフレーズ、、、こうしたい!ああしたい!がどんどんと出来ていき、あっという間に、本当に1時間どころか30分くらいで曲が出来上がりました。
何かに憑依されたとしか思えない。
こんな体験は初めてでした。
タイトル付ける事が苦手でいつも悩むのですが、この曲が出来上がった時は一瞬でタイトルが出てきました。
「ただ、そこにある道」
まるで決まっていたかのように。この体験は今でも嘘のように不思議で、でもこうなることも何となく分かっていたような感覚もある。
また一つ貴重な経験ができた。
そうやって残りの日々が過ぎ、本番の日になりました。あっと言う間だった。
この日にこの場所で自分がピアニストとしてソロをやるなんて、未だに信じられない。
リハーサルも気付けば終わっていた。
そして開場。
この日、平日にも関わらず、なんと150名の方が来場してくださった。
これマジでびっくりしすぎて、外人ちゃうのに「オーマイガ」って言いそうなったわ。言ってへんけど。
ほんとうに驚き。
そして本当に感謝。
こんなにも、自分の公演に貴重なお金と時間を費やして足を運んでくれる人がいるなんて、、、
本番えのヤル気が一層高まりました。
本番前の楽屋。
この日の1stはブルーのタキシード。髪もアップにしました。
いよいよ本番へ。
あっという間だった準備期間を全て終えて、いよいよ始まる。
まずはオリジナル2曲から、3曲目ボサノバの名曲desafinadoまでを連続で。
コンサートと銘打つからには、しっかりと緊張感と曲の世界観を感じてもらえる演奏と演出を。
オリジナル2曲はこの日のために作ったもの。
desafinadoは大好きな曲。
MCを挟んで、東海ラジオでやっている自分の番組のスピンオフ企画として
エイリアンズ/キリンジ
2000トンの雨/山下達郎
のカバーを3曲続けて。
その後のMCでも触れたけど、なんとこの日、吉俣良さんがわざわざお越しくださっていました。
日本を代表する尊敬してやまない作曲家の目の前で、ご本人が作った曲を自分のアレンジで披露する、、、
こんな緊張することある!?
いや、こんな貴重な体験もできません。
死ぬほど緊張した、、、、
そしてMCを挟んで1stラストの曲spainを。
僕がジャズに興味を持ったきっかけの曲。
インスタライブでもリクエストがあり、難しいし悩んだけど、やって本当に良かった。
1stステージを終えて、30分の休憩でも休む暇はなく、次の準備へ。
急いで頭を洗って次のセットへ。
衣装もロイズテーラーさんに作ってもらった、ブラックの三つ揃えに。あっという間に2ndステージ。
2ndはCalmeraで僕が作った曲Shineのセルフカバーから。
そして、二胡奏者の高山さんをゲストに迎えての「風のとおり道」と韓国民謡「アリラン」へと続きます。
このアリランの前のMCで言いましたが、僕は昨年、日本国籍を取得し、日本へ帰化をしました。
日本で生まれ育った自分にとってメンタリティはほぼ日本人と同じです。
この国で生きていくからには、いつか日本国籍を取得することはずっと考えていました。
海外のように「○○系**人」という表現がしっくり来る。このグローバル社会の中で、自分のルーツだけはっきり分かっていれば良い。
両親、祖父母、遡って自分の先祖、この人達がどう生きたから今の自分が存在するのか。
ちゃんと分かって感謝をして。
だからこそ、この韓国民謡「アリラン」は自分のルーツの曲でもあり、このタイミング、この公演で絶対にやりたかった曲。
魂を込めてアレンジをし、高山さんの素敵な二胡の演奏で何倍にも高めて頂きました。
高山賢人さんに本当に感謝です。
その後はイタリア旅行に行った時に、そのインスピレーションで出来た曲「Ricordi」とミシェルカミロの「on fire」を二曲続けて。
「on fire」の時はそろそろ指に限界が来ていましたが、気合いでなんとか弾ききりました。
そして最後のMCを挟み、本編最後の曲は
「ただ、そこにある道」
を。この公演に臨むにあたって不思議な体験で出来上がった大切な曲を、気持ちを込めて弾きました。
あっという間にアンコールで、最後の最後は「MEBAE」という曲を。
東海ラジオで1クールパーソナリティを務めたその最後の放送で披露した、これまでの番組でピアノを弾いた曲からインスピレーションを受けて作った曲。
この番組をするにあたって、夢だったラジオパーソナリティのお仕事ができ、そしてこのモーションブルーでのソロ公演が決まり、自分の中で新たに様々な感情や希望、夢が芽生えました。
その想いを音に乗せて、そして今日に向かって来た日々を振り返り、このステージに立たせてくれた全ての人に感謝を込めてピアノを弾きました。
終わりたくなかったなぁ。
本当にあっと言う間だった。
ここまで支えてくれた皆さん、応援してくれた人たち、そして当日足を運んでくれた沢山の方々、本当に感謝しています。
ありがとうございました。
ところで、この公演をブッキングしてくれたのはモーションブルーの谷口さん。
通称タニーチョと呼ばれる彼は、音楽に対して熱意とアツい想いを持ってお仕事をしていて、そんな尊敬できる彼の存在はアーティストにとって心強く、そしてありがたい。
俺にオファーをくれたのだって、ハッキリ言うと正直カケだったと思う。
でも彼は「絶対成功するよ。」と言ってくれ、ステージに上がる直前には
「普段と違って一人でステージに立つって大変だよね。でも今のパクシン君は最高にカッコいいよ。」
と言って送り出してくれた。
2ndステージに上がる直前に、タニーチョ氏に
「もし今夜が大成功になったら、またここでソロをやらせてもらえますか?」
と聞いた。
返って来た答えは
「俺、もうやること決めてるから。」
その言葉がどれだけ嬉しいか。
いつもより力強くステージに登ることができた。
スペシャルサンクス。タニーチョ!
そんなこんなで、一世一代のピアノソロコンサートは沢山の人たちに支えられ、大成功することができました!
そして朝まで打ち上げ!!
本当に楽しい日々だった。
ので!
その他でも意を決してピアノソロをやります。
東名阪で発表したけど、大阪と名古屋はすぐに売り切れちゃった、、、すみません。
8/9東京編GRAPES KITASANDO
はまだちょっとチケットあります。
大阪は9/3に追加公演やります!
詳しくは以下で!
最後に初公開の、当日の動画を。
想いを込めてアレンジをし、高山さんと共に想いを込めて演奏したアリランを。
『アリラン(아리랑)』feat.高山賢人 - YouTube
またやります。
次はもっと成長した姿を見せるので、これからもよろしくお願いします。
以上、パクシンでした!
動画/中山文子
写真/黒木治