MEMOSHIN

カルメラのピアニスト、パクシンによる日々の出来事をパクシン目線で見たブログ

ダメな先輩

 
先輩というものはいつまでたっても先輩です。
 
その人との人間関係のスタートが先輩後輩としての関係でスタートしたなら、死ぬまでずっと先輩は先輩。そして僕はずっと後輩。そう思っています。
 
一口に先輩後輩と言っても、その中で育まれる関係性や接し方は色々あるので、先輩に対して「チャース!!○○さん!お疲れ様です!!」みたいな感じでずっと接して行くぜって訳ではなく、先輩に対してのリスペクトを持って接していきたい。そんな感じ。
 
 
 
僕のリスペクトする先輩の中に、田中先輩という人がいます。
 
この人との出会いは、大学に入学し、胸ワクワクと軽音楽部に入部した時です。僕は初々しい何も知らない、無垢な大学一回生。その時に田中先輩は3回目の三回生でした。そう、彼は人呼んで「3回目の三回生、田中」でした。そのまんまやけど。でも当時は
 
 
 
通り名が韻を踏んでるだと….!!!しかも情けない!!!
 
 
 
と思ったもんです。
 
 
しかし、初対面のイメージとは裏腹に、彼のサックスの腕前は当時から輝いていて、全部員たちの尊敬の的でした。音楽的にも色々なことに精通していて、学生ながらも当時組んでいたバンドで大阪のクラブイベントで夜な夜なライブをしていたし、CDもリリースしていて、一地方大学の軽音楽部というちっぽけなところからこんな活躍してる人が出るということは、部員たちにとって相当な刺激を与えていました。
 
ただ、私生活はダメダメ。そして破天荒。破天荒でダメダメ過ぎて、それがめちゃくちゃ面白い。夜中の部室の出入りは禁止されていたんですが、田中先輩はよく深夜の部室で酒を飲んでグダグダしていました。よくほかの先輩たちも集まっては酒盛りしていたんですけど、みんなで田中先輩の過去のダメ過ぎるエピソードを肴に飲むのが楽し過ぎて、僕はそんな空間が結構好きでした。田中先輩はいつもみんなの中心にいました。
 
 
一見ダメダメに見えるけど、優しくて音楽的に頼りになってサックスが素晴らしい
 
 
これが田中先輩という人間かなと。
 
 
そんな先輩は、卒業することなく”放校”という形で大学を去り、上京しました。それを聞いた時は心底驚いたもんです。
 
 
 
 
 
 
 
放校って….ナニ!!?初めて聞いた!!!!ナニ!?放校って!!
 
 
 
 
 
この”放校”の漢字の持つパワー強過ぎるやろ。。
”校”から”放たれる"ってことやん。なんなん。牧場なん。牛なん。先輩。
 
 
そんな牛みたいな去り方した先輩も東京で音楽をしているということで一安心していたのですが、そこからしばらく時は経ち、僕も大学を卒業して音楽の道に進み、お互いにミュージシャンという肩書きになった中で再会を果たします。そこで僕は唖然とします。
 
 
先輩が!!あの田中先輩が!覇気のない普通の人になってる…!!
 
  
東京で色々な揉まれ方したんでしょうか。俺の知ってる先輩じゃない!!そう思った僕は、当時やっていた「奇妙礼太郎トラベルスイング楽団」に田中先輩を誘いました。そして彼はメンバーの一員として活動していくとともに、気づいたら芸名がついていました。
 
 
 
 
UJ
 
 
 
 
いやUJて!って最初は思ったけど、それでも馴染むもんですね。下の名前の”ゆうじ”からつけたみたいです。
 
名前を変えたのと同じ時期ぐらいから、田中先輩もといUJ先輩はちょっとずつ輝きを取り戻してきたようでした。
 
そこから僕も上京し、色々と演奏をともにする機会も増えてきました。
 
先輩は輝きを徐々に取り戻しつつありますが、僕が思うに、まだまだ全盛期ほどではありません。
 
 
 
もっと!!
 
 
先輩!もっと!!
 
 
 
もっといけるでしょ!!!!
 
 
 
その気持ちで接していたら、いつしか心で思うだけじゃなくて口に出るようになり、気づけば小うるさい後輩になっていました。
 
 
 
「先輩!今のところもっとアレですよ。ここはこうしてください。」
 
「はい。。すいません。」
 
 
 
みたいな会話が増えてきて、ある時気付きました。
 
 
 
 
 
 
あれ?これ端から見たら先輩後輩逆転してんじゃね…..??
 
 
 
 
 
 
ちゃうねん!俺はそんなつもりは全然ないねん!俺は!!俺は!!俺は….
 
 
 
田中先輩のもっともっとかっこいい姿が見たいだけやねん。。
 
 
 
でも、そうは見えてないだろうな。。先輩後輩の関係逆転して見えてそうな気もするな。。。どうしよう。。どうしよう。。。。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
まっいいか
 
 
 
 
 
 
 
 
そう。まぁいい。小うるさい後輩かもしれないけれど、俺は田中先輩のことをいつまでも先輩だと思っているし、ずっとずっと、出会った頃から尊敬している。先輩のサックスが大好きだし、人間性も大好きだ。なんかそれで良いと思う。人からどう見られても。まぁ
 
 
 
 
先輩が良ければやけど
 
 
 
 
こんなに後輩に色々言われてて、普通なら嫌だと思うなぁ。何より、俺偉そうやし。自覚あるぐらい。まぁでも、だからこそたまには「お前この野郎!」ぐらい言われたい。先輩からガツンと。それに対して「なんじゃ!先に生まれたからって!!」って言い返してみたい。いや、冗談やけど。でも、それぐらいの熱いやりとりもたまにはしてみたいな。
 
 
って思ってたら
 
 
 
 
 
 
 
昨日言われました。
 
 
 
 
 
 そのセリフがこちら。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「お前、覚えとけよ!!!!」
 
 
 
 
 
 
  
 
爆笑wwww
 
まさかのこのセリフを放たれました。ちょっとマジ入ってたと思うんですよ。先輩しこたま飲んでて酔っ払ってたので覚えてるかどうかわからんけど。それにしてもですよ。
 
 
 
お前、覚えとけよ!!!!
 
 
 
ってwwwwww
 
 
 
覚えとけよ!!!ってwwwwwww
 
 
 
 
三流悪役のセリフ。まさか先輩にこんな言葉をかけられるなんて。もっとなんかこう、もうちょっとしまる感じのやつお願いしたかった。覚えとけよ!じゃないやん。そこは。ってなった。。
 
 
 
あまりにも酔ってらしたんで、タクシーに乗せて返しましたけど、あれ覚えてたんかなぁ。
 
 
捨て台詞はド三流やったけど、この日のライブのプレイは一流でした。
 
 
やっぱり先輩のプレイは素敵だ。そして、やっぱり面白い。味のある人間ってこういう人やなぁって思う。
 
 
 
 
 
そんな田中先輩のことが大好きだ。
 
僕はこの人のことを、時には叱ったり褒めたりしながら、病める時も健やかなる時も、後輩として、たとえどんな形であれ支えていこうと思ってる。
 
 
 
 
以上、パクシンでした。次は金曜日!