パクシンの部屋TOKYO vol.6~杉瀬陽子さんを迎えて~
天才っていう言葉って、その人を表す時に使うと逆になんだかチープな表現になってしまう気がして使いたくない。でも、他に表現する言葉が見つからないので、ついつい使ってしまうんですよね。
シンガーソングライターの杉瀬陽子さんはまさにその天才。
彼女の作る曲、歌詞、歌声、全てが上質で、それらが三位一体となって世界観を作り出し、観る人を非日常の空間へ連れて行ってくれる。杉瀬さんはそういう力を持った稀有なアーティストです。
かれこれ5年ほど前になるのでしょうか。
僕が奇妙礼太郎トラベルスイング楽団に在籍していたころ、東京と新潟の2ヶ所を周るツアーがあったのですが、そこに杉瀬さんが同行し、トラベルスイング楽団が杉瀬さんのバックバンドも務めるという機会がありました。
もちろん、それまでに僕は杉瀬さんを知っていましたし、ライブも拝見したことはあったのですが、ちゃんと絡んだのはそこが初めてで、バックバンドをしてみると、当時の僕は若干力不足なこともありつつも、彼女の音楽性に一気に惹かれていきました。
そこから色々と絡み出し、カルメラ辻本とやっているクラリネット&ピアノのデュオのシカキムでやっていた、月イチ大阪定期公演の「シカキムラウンジ」にゲストとしてお呼びさせてもらったことを皮切りに、カルメラメンバーとも交流が生まれ、カルメラの着席ライブにゲストとして招きコラボをしたり、最近では4月にカルメラ主催の大阪3daysイベント「カルメラのザッツ・ゴールデン・バラエティ」でもゲストにお呼びして、またまたコラボもさせて頂きました。
観る人を惹き込み、その曲の世界観に連れていってくれる杉瀬さんの音楽。感傷的になったり、旅情感に浸ったり、気付けばいつもあっという間に時間が流れ、ステージが終わると温かい気持ちになっています。そんな杉瀬さんの魅力に、カルメラのメンバーも魅せられているのですが、お客さんの評判もまた、凄く良い。それどころか、東京でも大阪でも、シンガーソングライター「杉瀬陽子」の名前はミュージシャンの間ではよく噂になっています。
そんな杉瀬さんですが、大阪にいてる時によく一緒に飲んだりするのですが、ステージとはまた全然違い、凄く気さくでおおらかな面白いお姉さんっぷりを発揮します。ここで言えない話がいっぱいあるんですが、そんなところも含めた人間力がまさに音楽に出ているといった感じで、会うたびに、ステージを観るたびに大好きになっていきます。
移動しているときもよく杉瀬さんの音源を聴くんですが、全部が本当に良い曲。
そんな杉瀬陽子を、今回の僕の主催イベント「パクシンの部屋TOKYO vol.6」にお招きさせて頂きました。
この「パクシンの部屋」は、ゲストの方と僕のピアノで一夜限りのデュオでお届けするというコンセプト、当然、杉瀬さんの歌に僕が伴奏をさせて頂くのですが、今回は杉瀬さんに選曲をお願いしました。
全部良すぎて選べないから。
セットリストが送られた時に「あ〜これも良い!あれも入ってる!あ〜もう全部良い!」ってなったんですけど、同時に「あれもやりたい!これもやりたいー!!」となって、気持ちが落ち着かなかったです。
でもさすがのご本人の選曲は素晴らしく、気合を入れて伴奏をさせてもらいました。
杉瀬さんの世界観をより引き出せるように。曲を知っているからこそ、大好きな曲だからこそ、自分の中でイメージを膨らませてアレンジをしながら、いつもより繊細に、綺麗に音を出せるよう、全神経を集中させて演奏をしました。
特にバンドでは勢いがあったり派手に音を鳴らすように弾く僕ですが、今回はそんなプレイスタイルとは真逆の演奏でしたが、いつも以上に一音一音に心を込め、感情を目一杯吹き込んで弾いたつもりです。
最新アルバムの曲「悲しみよ、愛を孕め」では、それまで我慢して頑張ってせき止めていた感情が爆発しかけ、思わず涙の防波堤が決壊しかけました。
今回、必ずこういう瞬間が来るだろうなとは思っていましたが、改めて考えると、人と演奏をしていて、ここまで曲の世界観に没頭し感情移入してしまうことはなかなかありません。やはり演奏に集中するということは、感情移入と同時に別のタスクをするということであって、慣れているならまだしも、この当日のちょっとしたリハーサルだけで本番に臨んでいるので、間違えずに演奏するというタスクの方に、本来は集中力を大きく使うのです。
それでも、僕の感情がそこまで大きく揺さぶられたのは他ならぬ、杉瀬さんの、世界観へ引き込む力が大きいからであって、この「悲しみよ、愛を孕め」を演奏し終わって客席を見ると、僕と同じような人や、もはや防波堤が大決壊を起こしている方がたくさんいました。
中には
「鼻水をすすると曲の邪魔になるとおもって、気付いたら全部垂れ流しでした」
という大惨事な方もいらっしゃいました。
確かに、冒頭に「写真撮影はOKですが、静かな曲が多いので、シャッター音などはお気遣いよろしくお願いします」と言いました。それを気にしてのことなんでしょうけど…
「パクシンの部屋」は鼻すするの全然OKですからね
とはいえ、それほどまでに気遣ってくれるほど、世界観を一緒に作り上げられたのかもしれない。そう思うと本当に嬉しいですね。
そうそう、今回はカルメラのTb.たなっちや、奇妙礼太郎トラベルスイング楽団のUJも遊びに来てくれました。
特に、カルメラのメンバーが個人のライブに遊びに来てくれるのなんか本当に珍しいので、凄く嬉しかった。たなっちも杉瀬さんの大ファンで、カルメラと共演した時に杉瀬さんのリハーサルを見ながら人知れず涙を拭っていたのを僕は見逃してなかったので、僕の方も今回の演奏には気合が入りました。
せっかく来てくれるんだからということで、楽器を持ってきてもらい、コラボ演奏。
奇妙さんとよくデュエットをしている「Sweer Memories」をみんなで一緒にやりました。僕とたなっちがトラベルスイング楽団にいた時に何度もやった曲。そこにはUJももちろんいて、杉瀬さんと奇妙さんという僕の中で特別な歌声が二人デュエットをした曲。音源にもなっていますが、今回、なんとなくあの頃を思い出すような編成で特別な演奏ができました。
そして、「パクシンの部屋TOKYO」で僕がテーマにしているひとつ。
"ゲストの方にオリジナルを1曲書いて演奏をする"
という企画。今回は僕がコード進行を書き、杉瀬さんにメロディと歌詞をつけてもらいました。
タイトルは
「我輩はドラ猫である」
なんとも可愛らしい。
僕がはじめにイメージして作ったものに対して、凄く良い意味で裏切られたメロディと歌詞。本当に良い曲にしてくれて、改めて杉瀬さんの凄さを実感。共同制作だからこその良さをめちゃくちゃ感じました。
僕が言いだして、厚かましいながらも、その人の為にと思って作ったものが、逆に僕に対してのプレゼントのようで、本当に幸せの極みでした。
1曲ごとにMCをし、長々とお送りしましたが、アンコールには僕が大好きな曲「ルーシー」を、たなっち、UJとともに4人で演奏。幸せな空間での幕切れとなりました。
このイベントをやるに当たって、絶対に呼びたかったアーティストの一人、杉瀬陽子さん。はるばる大阪から来てもらいましたが、本当に素晴らしい一夜となりました。
本当に感謝です。
そして、近いうちに大阪編も開催予定です!決まり次第、告知するので皆さん是非観に来て下さいね。
※おまけ
杉瀬さんの物販で本気買いするたなっち
【次回のパクシンの部屋】
この日はカホンとピアノのデュオということで、ピアノサウンドが全面に押し出された楽曲をたくさんします。カバーももちろんですが、僕のオリジナルもふんだんに織り交ぜてやるつもりです!大学時代のエピソードなどもMCでお届けいたします!
ちょうど10ヶ月前にこの二人でライブをしていますので今回はこれで二度目。あの時とどんな感じでお互い成長しているのか…
良かったら見届けに来て下さい。
12/8(火)『パクシンの部屋OSAKA vol.2』
そして東京編は、大阪からfugacityのボーカルの大野裕也さんをお迎えしてお届けします。最近、北堀江にbar mellowというお店をオープンした大野さん。大阪に帰った時の飲み相手をしてくれる貴重な先輩なのですが、最近ニューアルバムをリリースされました。
今年の夏に大阪の雲州堂というところで投げ銭ライブをしたのですが、その時よりもたっぷりとしっかりとお届けさせてもらいます。杉瀬さん曰く「大阪が生んだマカロンボイス」ということで、甘く素敵な歌声を存分に堪能してほしい!知的で面白くて、曲が良くて。僕の大好きな人です!夏に披露した、大野さんと二人でやるように作った僕のオリジナルも披露する予定です!
こちらも是非!
12/16(水)『パクシンの部屋TOKYO vol.7』
ゲスト:【大野裕也】
@下北沢cafe/field
OPEN/19:30 START/20:00
ゲスト:【大野裕也】
@下北沢cafe/field
OPEN/19:30 START/20:00
¥2500+1D
ともにpakshin.official@gmail.comにて絶賛、ご予約を承っております!
これからパクシンの部屋のライブレポートはちゃんとここに記していこうとおもいました。最近はブログの更新、下書きが溜まっていく一方…書きたいことはたくさんあるのにまとまらない。ゆっくりですがちょいちょい更新していくのでよろしくお願いします。
あと12月に体調崩しがちなので、細心の注意を払っていきたいと思います。
今月は怒涛のスケジュールで、色んな土地に現れますが、皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!!
風邪ひくなよ!
以上、パクシンでした!